NISA・iDeCo と課税口座の比較
同じ商品を同じように積み立てても、どの口座に置くかで手取りが変わります。その差がどれくらいになるかを試算します。
この試算は概算です
実際の税額は、他の所得、各種控除、住民税の扱い、受取方法などによって大きく変わります。ここでの計算は仕組みの大きさを示すための概算であり、税額の確定計算ではありません。
とくに iDeCo の受取時課税は、会社の退職金がある場合、受け取る順番と受け取りの間隔が何年空くかによって退職所得控除が調整されます。「同じ年でなければ影響がない」わけではなく、調整の対象になる年数は改正が入っています。この試算はその調整を含めていません。個別の判断は税理士等にご確認ください。
条件を入力
年収ではなく、各種控除を引いたあとの課税所得です。源泉徴収票の「給与所得控除後の金額」から「所得控除の額の合計額」を引いた額にあたります。iDeCo の所得控除の効果を計算するのに使います。
入力した条件は URL に入っています。このリンクを開くと同じ試算が再現されます。
課税口座(特定口座)
1,583万円
- 投資元本
- 900万円
- 運用後(税引前)
- 1,757万円
- 運用益への課税
- −174万円
- 売却時に運用益へ 20.315% が課税されます。
- 保有期間中に分配金を受け取った場合はその都度課税されるため、実際の手取りはこの試算より下がることがあります。
- 損失が出た場合は他の上場株式等の利益と損益通算でき、3年間の繰越控除も使えます。
NISA
1,757万円
- 投資元本
- 900万円
- 運用後(税引前)
- 1,757万円
- 運用益・分配金が非課税です。売却時にも課税されません。
- NISA 口座内の損失は損益通算・繰越控除ができません。
iDeCo
1,542万円
- 投資元本
- 690万円
- 運用後(税引前)
- 1,347万円
- 所得控除による軽減(累計)
- +210万円
- 受取時の課税(概算)
- −15万円
- 掛金が全額所得控除の対象となるため、拠出している間の所得税・住民税が軽減されます。
- 運用益は非課税です。
- 受取時は一時金(退職所得)として受け取る前提で計算しています。退職所得控除を差し引いた残りの 1/2 が課税対象です。
- 会社の退職金がある場合、退職所得控除は受け取る順番と、受け取りの間隔が何年空くかによって調整されます。「同じ年でなければ影響がない」わけではなく、調整の対象になる年数は改正されています。受け取り方を決める前に、勤務先と運営管理機関に確認してください。
- 原則として60歳まで引き出せません。口座管理手数料は計算に含めていません。
- 掛金の所得控除による軽減額は、拠出した各年の名目額を合計しています。将来時点の評価額とは時点が異なる金額を足し合わせている点にご注意ください。
- 課税所得がない場合、所得控除による軽減は生じません。その場合に残る利点は運用益が非課税であることで、口座管理手数料は課税所得の有無にかかわらずかかります。
- 拠出限度額により、月額 23,000 円までしか拠出できない前提で計算しています。
課税口座との差
- NISA: 174万円 手取りが多い
- iDeCo: 41万円 手取りが少ない
この比較は、投じた元本がそろっていません。iDeCo は枠の上限があるため、元本が 690万円(課税口座は 900万円)に とどまっています。そのため、この差額は制度の有利不利をそのまま表したものではありません。同じ元本で比べたい場合は、月額を下げてください(iDeCo の限度額は月額 23,000 円です)。実際には、枠のある口座から順に使い、あふれた分を課税口座に回すという組み合わせになります。
課税所得 400 万円のときの限界税率は 30.42%として計算しています(所得税・復興特別所得税・住民税の合計)。
3つの口座のちがい
| 課税口座 | NISA | iDeCo | |
|---|---|---|---|
| 掛金の所得控除 | なし | なし | 全額が対象 |
| 運用益 | 20.315% 課税 | 非課税 | 非課税 |
| 受取時 | 課税済み | 非課税 | 退職所得・公的年金等として課税 |
| 引き出し | いつでも | いつでも | 原則60歳まで不可 |
| 損益通算 | できる | できない | — |
計算の前提
- 課税口座: 保有中は分配金を受け取らず、出口で運用益に 20.315% が課税されるものとしています。
- NISA: 年間投資枠(360万円)と生涯非課税保有限度額(1,800万円)を反映しています。枠に到達したあとは、新規の積立を止めて運用のみを継続する前提です。
- iDeCo: 掛金は全額が所得控除の対象とし、課税所得に応じた限界税率で軽減額を計算しています。受取は一時金(退職所得)を想定し、退職所得控除を差し引いた残りの 1/2 が課税対象としています。口座管理手数料は含めていません。
金額だけでは決まりません
この試算では iDeCo が有利に出ることが多くなります。所得控除の効果が大きいためです。ただし、原則60歳まで引き出せないという制約は、金額に表れません。教育費や住宅資金と時期が重なるなら、引き出せることの価値のほうが大きいこともあります。
「60歳まで使わないと言い切れるお金か」で判断する、という整理が実用的です。
NISA について押さえておくこと
- 非課税保有限度額は簿価残高(買付額)で管理されます。含み益が乗っても枠を圧迫しません。
- 保有商品を売却すると、その簿価分の枠が翌年以降に復活します(年間投資枠の上限は別途かかります)。
- つみたて投資枠の対象は、金融庁の基準を満たす長期・積立・分散投資に適した一定の投資信託等に限られます。
- 成長投資枠では、整理・監理銘柄、信託期間20年未満・高レバレッジ型・毎月分配型の投資信託等は対象外です。
- NISA 口座内で生じた損失は、課税口座の利益との損益通算や繰越控除ができません。
- 2027年1月から、口座を開設できる年齢の下限(その年の1月1日に18歳以上)が撤廃されます。18歳未満の間は年間投資枠60万円・非課税保有限度額600万円で、つみたて投資枠と同じ商品のみが対象です(通称「こどもNISA」)。
iDeCo について押さえておくこと
- 掛金は全額が小規模企業共済等掛金控除の対象となり、所得税・住民税が軽減されます。軽減額は課税所得によって変わります。
- 運用益は非課税です。ただし受取時には、一時金なら退職所得控除、年金なら公的年金等控除の対象として課税関係が生じます。
- 原則として60歳まで引き出せません。60歳時点で通算加入者等期間が10年に満たない場合、受給開始可能年齢は繰り下がります。
- 2026年12月から拠出限度額が引き上げられ、加入可能年齢も70歳になるまでに拡大されます。
- 口座管理手数料(加入時・毎月)がかかります。金融機関によって金額が異なります。
- 課税所得がない場合、掛金の所得控除による軽減は生じません。その場合に残る利点は運用益が非課税であることで、口座管理手数料は課税所得の有無にかかわらずかかります。
- 企業型DCに加入している場合、マッチング拠出とiDeCoの併用はできず、勤務先の規約に沿ってどちらかを選びます。iDeCo側の限度額は、事業主掛金を差し引いた残りになります。自分の枠を知るには、まず企業型DCの加入者サイトで事業主掛金の月額を確認してください。
どの枠に何を入れるかという論点は、判断が分かれる論点で扱っています。
出典
- [1]金融庁「NISAを知る/新しいNISA」
- [2]金融庁「令和8(2026)年度税制改正について(税制改正大綱における金融庁関係の主要項目)」つみたて投資枠の対象年齢見直し(0〜17歳・年間60万円・非課税保有限度額600万円)を掲載。令和9年から。
- [3]厚生労働省「iDeCoがパワーアップします!(令和8年12月からの拠出限度額引き上げ)」2026年12月から拠出限度額の引き上げと加入可能年齢の拡大が行われる。
- [4]国税庁「所得税の税率/株式等の譲渡所得等」