まずはこれだけ
やることを順番に並べました。上から順に進めれば、大きく外すことはありません。チェックを付けると、この端末のブラウザに記録されます。
使い方
最初に「全員に共通するステップ」を上から進めてください。投資を始める前にやることが半分を占めますが、ここを飛ばすと、値下がりしたときに積立を止めることになりがちです。
共通ステップが終わったら、自分に当てはまる目的別のリストを見てください。複数当てはまっても構いません。
全員に共通するステップ
投資の前にやることがあります。ここを飛ばすと、あとで積立を止めることになりがちです。上から順に進めてください。
「毎月いくらなら無理なく積み立てられるか」が分からないと、金額の決めようがありません。1円単位の家計簿は不要で、手取り・固定費・変動費の3つが分かれば十分です。
直近3か月の給与明細とカード明細を見て、手取り・家賃・通信費・保険料などの固定費を書き出します。口座やカードが家族で別々になっている場合は、まず「どこにいくつあるか」を並べるところからで構いません。固定費を月1万円下げると、積立を月1万円増やすのと同じだけ効きます。
急な出費や収入減で投資を取り崩すことになると、たいてい価格が下がっている時期に売ることになります。現金のクッションは、積立を続けるための装置です。
生活費の3〜6か月分(自営業や収入が不安定な場合は多め)を、すぐ引き出せる預金に置きます。この分は運用に回しません。
カードリボや消費者金融の金利は年15%前後になることがあります。運用で年15%を安定して得るのは現実的ではないので、返済のほうが確実です。
住宅ローンや奨学金のような低金利の借入は、必ずしも急いで返す必要はありません。金利の水準で判断します。
企業型確定拠出年金(企業型DC)のマッチング拠出、財形貯蓄、従業員持株会などは、勤務先にある人だけが使える仕組みです。気づかずに使っていない人が少なくありません。
人事・総務に「企業型DCはありますか」「マッチング拠出は使えますか」と聞くのが早いです。企業型DCがある場合、商品が預金のままになっていないかも確認します。
同じ商品を同じように買っても、課税口座では運用益に約20%かかり、NISAならかかりません。長期になるほど差が開きます。
ネット証券なら、スマートフォンとマイナンバーカードがあれば申し込めます。口座開設には数日〜2週間ほどかかります。
毎月「買うかどうか」を判断していると、値下がりした月ほど買えなくなります。自動引き落としにすると、判断そのものが不要になります。
金額は、生活が苦しくならない範囲から始めます。あとから増額できます。ボーナス月の増額設定は、無理のない範囲で。
商品選びで止まってしまう人が多いのですが、コストの低い広く分散されたインデックスファンドであれば、どれを選んでも結果は大きくは変わりません。
連動する指数、信託報酬、純資産総額の3つを見ます。迷ったら、まず判断軸の解説を読んでください。
老後資金を準備したい
公的年金がいくらもらえそうかを先に確認すると、足りない額=準備すべき額がはっきりします。
「老後資金2,000万円」のような一般論ではなく、自分の見込額から逆算したほうが正確です。加入記録の漏れが見つかることもあります。
ねんきん定期便に記載のアクセスキー、またはマイナポータル経由で登録できます。
退職金があるかないかで必要額は大きく変わります。制度がない勤務先も珍しくありません。
就業規則か退職金規程を確認します。企業型DCがある場合は、それが退職金の一部であることも多いです。
必要な総額が分かれば、毎月の積立額に落とせます。
掛金が全額所得控除になるため、課税所得がある人にとっては税の軽減効果が大きい制度です。ただし原則60歳まで引き出せません。
「60歳まで使わないと言い切れるお金か」で判断します。教育費や住宅資金と重なるなら、NISAを優先する考え方もあります。
教育資金を準備したい
使う時期が決まっているお金です。時期が近いほど、増やすことより確実性を優先します。
公立か私立か、大学が文系か理系か、下宿かどうかで総額が数百万円単位で変わります。
受け取ったまま生活費に混ぜてしまうと残りません。別口座に分けるだけで、まとまった金額になります。
教育費の試算に月額を入れると、そのぶん必要な積立額が下がります。支給額と支給期間は改正が入るので、お住まいの自治体の案内でご確認ください。
大学入学の直前に相場が下がっていると、必要な額に届かないことがあります。使う時期が近いお金は、値動きのある商品から順次移していきます。
全額を自力で用意しなければならないわけではありません。給付型奨学金や授業料減免の対象になる場合もあります。
2023年で新規買付は終了していますが、保有分は18歳まで非課税で持てます。払出しは全額が対象という制約があります。
2027年1月からNISAの口座開設可能年齢の下限が撤廃されます。18歳未満の間は年間60万円・非課税保有限度額600万円で、原則として12歳までは引き出せません。使う時期が近いお金を入れると動かせなくなるため、内容を知ったうえで判断する必要があります。
住宅の購入を考えている
住宅は多くの家庭で最大の支出です。ローンの条件と、頭金に回す額の判断が要になります。
物件価格のほかに、登記費用・仲介手数料・ローン保証料などの諸費用がかかります。生活防衛資金を取り崩さずに払える額かを確認します。
借入可能額と、無理なく返せる額は別物です。金利が上がった場合も含めて確認します。
2〜3年以内に使う予定のお金は、値動きのある商品には向きません。
ローン金利より高い運用利回りが期待できるなら投資、という単純な比較にはなりません。住宅ローン控除の期間中かどうか、金利が固定か変動かでも変わります。
自営業・フリーランス
会社員より公的年金が薄く、収入も変動しやすい分、自分で用意する仕組みの重要度が上がります。
収入が月ごとに変動するため、会社員より厚いクッションが必要です。1年分を目安にする考え方もあります。
厚生年金がない分、老齢基礎年金のみになります。ねんきんネットで見込額を確認すると、差が具体的に分かります。
自営業者はiDeCoの拠出限度額が会社員より大きく設定されています。小規模企業共済も掛金が全額所得控除の対象です。
所得税・住民税・国民健康保険料は後から来ます。この分を投資に回してしまうと、納付時に取り崩すことになります。
40代・50代から始める
「もう手遅れ」と感じているなら、まずここから。若い頃と同じにはなりませんが、この年代にしかない条件もあります。
この年代なら見込額はほぼ確定に近く、精度の高い逆算ができます。20代にはない強みです。不足額が決まらないと、必要な積立額も決まりません。
退職は運用の終わりではありません。65歳で退職しても、95歳まで生きるならそこから30年運用が続きます。45歳の人の運用期間は20年ではなく50年です。
積立額だけで解こうとすると無理が出ます。積立額・固定費・働く年数・年金の受給開始時期の4つがあります。とくに就労を1年延ばすと、積立期間が増えて取り崩し期間が減るので両側から効きます。
「出遅れを取り返す」という発想がいちばん危険です。レバレッジ商品、短期で増やすという話、退職金の一括投入。取り崩しが近いほど、下落から回復する時間がありません。
掛金の所得控除は課税所得が高いほど効きます。収入がピークに近いこの年代でもっとも効果が大きくなります。ただし加入可能期間は確認が必要です。
50代以降・出口を考える時期
積み上げる局面から、取り崩す局面への移行を設計します。
受給を繰り下げると年金額が増えます(最大75歳まで、1か月あたり0.7%)。長生きした場合の保険として機能します。
定額で取り崩すか定率にするか、どの口座から先に使うかで、資産の持ちが変わります。
一時金と年金では課税の仕組みが違います。会社の退職金がある場合、退職所得控除は受け取る順番と、受け取りの間隔が何年空くかによって調整されます。「同じ年でなければ影響がない」わけではないので、受け取り方を決める前に勤務先と運営管理機関に確認してください。
取り崩し開始直後に大きく下落すると、その後の資産の持ちに強く効きます(リターンの順序の影響)。ただし、長生きに備えて一定の株式を持ち続ける考え方もあります。
転職・退職するとき
手続きに期限があるものがあります。放置すると手数料だけがかかる状態になることがあります。
転職先に企業型DCがあれば移換、なければ iDeCo へ移すことになります。手続きをしないまま期間が過ぎると自動移換となり、運用されないまま管理手数料がかかり続けます。
退職前に、加入者サイトか人事・総務で「資産額」「移換の手続きと期限」を確認します。すでに自動移換になっている場合も、あとから移すことはできます。
会社員から自営業へ、あるいは勤務先の企業年金の有無が変わると、加入区分と拠出限度額が変わります。届け出が必要です。
転職の前後で収入が一時的に途切れることがあります。積立を止めるか下げるかを先に決めておくと、慌てて売却する事態を避けられます。生活防衛資金がここで効きます。
年の途中で退職して年内に再就職しない場合、自分で確定申告することになります。iDeCoの掛金の控除もそこで申告します。
共働き・子育て世帯
世帯で見ると、枠も判断も1人分ではありません。誰の名義で何を持つかが先に決まります。
働く時間を増やすかどうかで、世帯の手取りが変わります。積立額はその後にしか決まりません。税の扶養と社会保険の扶養は別の話で、社会保険のほうは勤務先の規模によって条件が変わります。
NISAは1人1口座で、枠は世帯ではなく個人につきます。どちらの名義で持つかによって、あとで動かしにくくなることがあります。
入金する人と名義が違うと、贈与の論点が出ます。誰のお金かをはっきりさせてから決めます。
課税所得がない場合、掛金の所得控除による軽減は生じません。運用益の非課税は残り、口座管理手数料は課税所得の有無にかかわらずかかります。
お子さんが複数いる場合、大学入学の時期が近いと支出が重なります。1人ずつ試算した額を足すと、重なる年で不足します。
遺族年金、勤務先の保障、住宅ローンがあれば団信。これらを数えずに民間保険を検討すると、必要保障額を過大に見積もります。
まとまった資金がある
相続、退職金、貯蓄など、すでに大きな金額が手元にある場合の論点です。
3年以内に使途が決まっているお金は、運用に回さないのが基本です。
期待値では一括のほうが有利になりやすい一方、直後に下落したときの精神的な負担は分割のほうが軽くなります。どちらが正解というより、続けられるほうを選ぶ問題です。
年間360万円という上限があるため、大きな金額を一度に非課税枠へ入れることはできません。何年かけて枠を使うかを考えます。
必要な生活費がすでに賄える資産があるなら、リスクを取る理由が小さくなります。目的から逆算して決めます。
このリストに載せていないこと
「どの銘柄を買うか」「何%を株式にするか」は、あえて手順に入れていません。人によって答えが変わるうえ、本サイトは特定の商品や配分を推奨しない方針だからです。
代わりに、判断の材料と判断の枠組みを別に用意しています。8個の共通ステップを終えたあとで読むと、たいてい意味がつながります。
- ファンドの比べ方 — コスト、純資産規模、連動精度、分配方針をどう見るか
- アセットアロケーション — リスク許容度を4つの軸で整理する
- 判断が分かれる論点 — 全世界株式1本にするか、NISA枠に何を入れるか、分配金で現金収入を作るか
- 統計・将来予測 — 人口、物価、年金の見通しといった前提条件