本文へスキップ
タネとチエ

借入と投資、どちらを先にするか

「借金があるうちは投資すべきでない」とも、「金利が低いなら投資に回したほうが残る」とも言われます。どちらも部分的に正しく、答えは自分の借入の利率で変わります。しかも、その利率がいま高いのか低いのかは、時期によって見え方が変わります。

解説

最終更新 / 公開

判断の基準はひとつ

年15%の借金の返済は、年15%の運用と同じ。

なぜ: 高金利の借入を返すことは、確実にその金利分の損失を避けることです。同じ利回りを運用で安定して得るのは現実的ではありません。返済のほうが確実な「利回り」です。

借入を返済することは、その金利分の支払いを確実に避けることです。つまり「確実な利回り」が得られる投資と同じ効果があります。しかも税金がかかりません。

したがって、判断は「その借入の金利と、期待できる運用利回りのどちらが高いか」になります。ただし運用利回りは不確実で、返済による効果は確実です。同じ数字なら、確実なほうが有利です。

金利の水準ごとの整理

このページに金利の水準を書いていないのは、金利が動くからです。ここに転記した数字が古くなると、いちばん影響を受ける人がいちばん困ります。比べる相手は一般的な水準ではなく、ご自身の契約書に書いてある利率です。
借入の種類確かめること一般的な考え方
カードのリボ払い・キャッシング実質年率と、いまの残高借入の中では高いほうに来ます。運用でこの水準を安定して得るのは現実的でない、という整理が多く見られます。
消費者ローン契約書の実質年率(幅がある)同じ商品名でも契約ごとに大きく違います。上のほうに当たっているなら、返済を先に置く整理が多くなります。
自動車ローン金利・残りの期間・繰上返済の手数料手数料しだいで、繰上返済の効きが変わります。
奨学金(第二種)利率の方式(固定か見直しか)と、貸与時に決まった利率同じ第二種でも、いつ借りたかで利率が違います。返還のお知らせに書いてあります。
住宅ローン変動か固定か、いまの適用金利、控除の残り期間住宅ローン控除の期間中は、繰上返済で控除も減る点に注意。

住宅ローンは事情が複雑

住宅ローンは金利が低いため、単純な比較では「返済より投資」となりがちです。ただし、次の点が絡みます。

  • 住宅ローン控除の適用期間中は、繰上返済で残高が減ると控除額も減ります。金利差だけでは判断できません。
  • 変動金利の場合、将来金利が上がる可能性があります。今の金利で比較すると判断を誤ることがあります。
  • 繰上返済した資金は戻せません。手元の流動性が下がることを受け入れられるかを考えます。
  • 返済が終わっているという安心感には、数字に表れない価値があります。

折衷案もあります

「どちらか一方」に決める必要はありません。住宅ローン控除の期間は投資を優先し、控除が終わってから繰上返済に切り替える、という順序も取れます。

奨学金について

第一種(無利子)であれば、繰上返済しても利息の節約はありません。手元に置いておくほうが柔軟です。第二種(有利子)でも金利は低い水準です。

一方で、返済が精神的な負担になっている場合は、その負担を減らすことにも意味があります。金利だけで割り切れない部分は残ります。

数字が近いとき、何で決めるか

返し終わっていない、という重さ

問 借入の金利と、期待できる利回りが近い数字になったときは、どう考えるのか
答 返済のほうは確実に効いて、運用のほうは不確実、という差が残ります。同じくらいの数字なら、確実なほうを取るという整理が扱いやすいと言われます。
問 返し終わっていないこと自体の重さは、その比べ方に入っているのか
答 その見方のほうが実際に近く、上の説明は途中で止まっています。入っていません。比べていたのは金利と利回りだけで、返し終わることの安心は式の外にあります。だから、数字が近いときはそこが決め手になることもある、という言い方までが正確です。
問 では、どこで数字と気持ちを分けるのか
答 差がはっきり出るときは数字で、近いときは式の外にあるものも含めて決める、と分けると扱いやすくなります。差がはっきり出るのは金利の高い借入のほうで、迷うのは低い側です。式の外の話が効いてくるのも、たいていそちらだと言われます。