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タネとチエ

リスクとは何か

日常語の「リスク」と、お金の話での「リスク」は意味がちがいます。この差を押さえておくと、あとの話が全部つながります。

公開

リスク=ふれ幅

日常語では、リスクは「危ないこと」を指します。お金の話では「結果がどれくらいばらつくか」を指します。上にも下にもふれる、その幅のことです。

だから「リスクが高い」は「損する」ではなく「大きく増えるかもしれないし、大きく減るかもしれない」という意味になります。

リスクとリターンは対になっている

リスク(ふれ幅)リターンここには何もない預金国内債券先進国債券国内株式全世界株式「元本保証で高利回り」とは、左上に印を打つという主張にあたる
各資産はおおむね右上がりの線の上に並びます。左上(リスクが低くリターンが高い)が空白なのは、偶然ではありません。そこに商品があると言われたら、疑うべき場所です。

各資産を、リスク(ふれ幅)を横軸、期待リターンを縦軸に置くと、おおむね右上がりに並びます。高いリターンは、大きなふれ幅を引き受けた対価として支払われているためです。

注目すべきは左上の空白です。「ふれ幅が小さくてリターンが高い」商品は、そこにありません。もしあれば、みんなが買うので値段が上がり、結果としてリターンが下がって、線の上に戻ります。

分散だけは例外

1社に集中この1社が失敗したら資産の100%を失う取り返す元本が残らない20社に分散失うのは資産の5%残りの95%が働き続ける
分散すると、1社が失敗したときの影響が小さくなります。当たりの大きさも小さくなりますが、外れたときに退場せずに済みます。

通常、リスクを下げるとリターンも下がります。ところが、値動きの異なるものを組み合わせると、期待リターンをほとんど落とさずにふれ幅だけを小さくできます。

これは、あるものが下がったときに別のものが下がらない(あるいは上がる)ことで、全体の振れが打ち消し合うためです。

分散にも限界があります

個別企業の固有の事情は分散で消せますが、市場全体が下がるリスクは消せません。2008年のように、世界中の株式が同時に下がることがあります。分散は「どれかが失敗しても退場しないため」の仕組みであって、下落を防ぐ仕組みではありません。

「耐えられる」と「続けられる」はちがう

リスク許容度を紙の上で計算すると、たいてい実際より高く出ます。資産が3割減った画面を見たときに、理屈どおりに行動できる人は多くありません。

途中で売ってしまう配分より、下落幅が小さくて続けられる配分のほうが、最終的な成績が良くなることがあります。理論上の最適解より、自分が実際にどう行動するかのほうが効きます。

「ふれ幅が小さい」ように見えたとき