リスクとは何か
日常語の「リスク」と、お金の話での「リスク」は意味がちがいます。この差を押さえておくと、あとの話が全部つながります。
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リスク=ふれ幅
リスクとは危険ではなく、ふれ幅のこと。
なぜ: お金の世界でいうリスクは「結果がどれだけばらつくか」を指します。上にも下にもふれる幅のことです。ふれ幅が大きいものは、大きく増える可能性と大きく減る可能性を同時に持っています。
日常語では、リスクは「危ないこと」を指します。お金の話では「結果がどれくらいばらつくか」を指します。上にも下にもふれる、その幅のことです。
だから「リスクが高い」は「損する」ではなく「大きく増えるかもしれないし、大きく減るかもしれない」という意味になります。
リスクとリターンは対になっている
各資産を、リスク(ふれ幅)を横軸、期待リターンを縦軸に置くと、おおむね右上がりに並びます。高いリターンは、大きなふれ幅を引き受けた対価として支払われているためです。
注目すべきは左上の空白です。「ふれ幅が小さくてリターンが高い」商品は、そこにありません。もしあれば、みんなが買うので値段が上がり、結果としてリターンが下がって、線の上に戻ります。
『元本保証で高利回り』は、うそか、罠。
なぜ: 高いリターンは、高いリスクを引き受けた対価です。リスクを取らずに高いリターンだけを得られる仕組みがあるなら、とっくに誰かが埋めています。この2つが同時に成り立つ話は、成り立っていません。
分散だけは例外
通常、リスクを下げるとリターンも下がります。ところが、値動きの異なるものを組み合わせると、期待リターンをほとんど落とさずにふれ幅だけを小さくできます。
これは、あるものが下がったときに別のものが下がらない(あるいは上がる)ことで、全体のふれが打ち消し合うためです。
分散だけが、ただでもらえる昼ごはん。
なぜ: ふつうリスクを下げるとリターンも下がります。ところが値動きの異なるものを組み合わせると、期待リターンをほとんど落とさずにふれ幅だけを小さくできます。市場で唯一の「ただの昼食」と呼ばれる理由です。
分散にも限界があります
個別企業の固有の事情は分散で消せますが、市場全体が下がるリスクは消せません。2008年のように、世界中の株式が同時に下がることがあります。分散は「どれかが失敗しても退場しないため」の仕組みであって、下落を防ぐ仕組みではありません。「耐えられる」と「続けられる」はちがう
耐えられる比率ではなく、続けられる比率を選ぶ。
なぜ: 理屈の上で耐えられるはずの配分でも、実際に資産が3割減るのを見ると人は売ってしまいます。途中でやめる配分より、続けられる控えめな配分のほうが、結果として成績が良くなることがあります。
リスク許容度を紙の上で計算すると、たいてい実際より高く出ます。資産が3割減った画面を見たときに、理屈どおりに行動できる人は多くありません。
途中で売ってしまう配分より、下落幅が小さくて続けられる配分のほうが、最終的な成績が良くなることがあります。理論上の最適解より、自分が実際にどう行動するかのほうが効きます。
「ふれ幅が小さい」ように見えたとき
図の左上にあるように見えたとき
- 問 ふれ幅が小さくてよく増えるもの、つまり図の左上には、ほんとうに何もないのか
- 答 あれば買う人が集まって値段が上がり、そのぶん期待できるリターンが下がります。結果として線の上に戻ってくる、という説明のされ方をします。
- 問 それなのに、左上にあるように見えるものがあるのはなぜか
- 答 値段が毎日つかないものだと、グラフがほとんど平らに見えることがあります。ふれていないのではなく、ふれが表示されていないだけ、という状態です。手放そうとしたときに初めて今いくらかが出てきて、そこで差が見える、ということが起こりえます。表示されていないことと、動いていないことは別だと言われます。
- 問 それは確かめなかった買い手の落ち度なのか。平らなグラフを出す側の問題ではないのか
- 答 そのとおりで、上の説明は言葉が足りていません。買う側の注意だけの話にすると片手落ちになります。どれくらいの頻度で値段がつくのかは、そもそも示されているべき情報だという見方もあります。資料に書いてはあっても、読み取れる形になっているかどうかはまた別の問題です。
- 問 では、何を見ればよいのか
- 答 「これは何日ごとに値段がつくのか」を資料で確かめる、という見方が紹介されます。すでに持っているものについても、買う前のものについても、いま確かめられる項目です。