2. お金の5つのはたらき
45分で1コマ。指導案・ワークシート・話し合いの問い・指導上の配慮をまとめています。
小学校 中学年小学校 高学年45分
児童に配るページは別にあります。このページには発問の答えや指導上の配慮が含まれるので、児童にはこども向けの本文(ためる と ふやす は、どうちがう?)のほうを配ってください。
金融を専門に学んでこられていない場合は、先に先生のための予習をご覧ください。
授業の前に押さえておくこと
- 5つの分類は覚えさせるためのものではありません
- 「かせぐ・つかう・ためる・そなえる・ふやす」は、お金との関わりを見落としなく点検するための道具です。分類の正解を当てさせるのではなく、自分の行動を当てはめてみて、抜けている働きに気づかせるのが目的です。境目が曖昧な例(保険は「そなえる」か「つかう」か)は、割れること自体が良い教材になります。
- 「ためる」と「ふやす」を分ける意味
- 「ためる」は元本が減らないかわりに、増えもしません。「ふやす」は増える可能性と減る可能性がセットです。この違いは単元7のリスクの定義に直結します。ここで「ふやす=よいこと、ためる=おくれている」という価値づけをすると、あとの単元がゆがみます。目的と時期によって使い分けるもの、という置き方にしてください。
- 「そなえる」は保険と生活防衛資金の両方を含みます
- 起きる確率は低いが起きたら大きい損失には保険、起きる確率が高く金額が読めるものには貯蓄、という使い分けが一般的な整理です。小学生には「使わずに終わるかもしれないけれど、用意しておく」という感覚が伝われば十分です。
児童から出やすい質問と、答え方
- Q. 「ためる」と「そなえる」って、同じじゃないの?
- どちらもお金を手元に置いておく点では同じです。ちがうのは目的で、「ためる」は使う予定があるもの(旅行、進学)、「そなえる」は使わずに終わるかもしれないもの(病気、事故)に向けたものです。同じ貯金でも、目的が分かれていると取り崩しの判断がしやすくなります。
- Q. 子どもでも「ふやす」ことはできるの?
- 未成年でも、親権者の同意のもとで口座を作れる制度はあります。ただしこの授業では「できるかどうか」より「どういう仕組みか」を扱ってください。具体的な商品や口座の案内は避け、単元6・7で仕組みを理解してからの話だと伝えるのが安全です。
- Q. 「かせぐ」って、働くこと以外にもあるの?
- 働いて受け取る給料のほかに、ものを売る、貸したものから受け取る、といった形もあります。ここで注意したいのは、家庭の事情に踏み込まないことです。誰がどう稼いでいるかを発表させる形にはしないでください。
伝え方で気をつけること
- 「ふやす」を目標地点のように扱わないでください。5つは順番でも段階でもなく、並列です。
- おこづかいの有無や金額に話が向かないようにしてください。ワークシートは行動の分類であって、金額を書かせるものではありません。
- 「そなえる」を保険商品の説明にしないでください。仕組みの話にとどめます。
この時間のねらい
- お金との関わりを5つに分けて整理できる。
- 自分の生活の中の行動が、5つのどれに当たるかを分類できる。
- 「そなえる」と「ふやす」のちがいを説明できる。
学習指導要領との対応
- 小学校 家庭科(第5学年・第6学年): 物や金銭の計画的な使い方
- 小学校 社会科(第3学年・第4学年): 販売の仕事、はたらく人とくらし
- 小学校 特別活動: 望ましい生活習慣、計画的な生活
授業の流れ(45分)
| 段階 | 分 | 内容 |
|---|---|---|
| 導入 | 8 | 「先週、お金を使った場面を思い出してみよう」と問いかけ、いくつか挙げさせる。 |
| 展開1 | 15 | 5つのはたらきを板書で示し、それぞれの具体例をグループで出し合う。挙がった例を黒板の5つの欄に貼っていく。 |
| 展開2 | 14 | 「ためる」と「ふやす」のちがいを扱う。ためるは減らないが増えない、ふやすは増えるかもしれないが減るかもしれない。どちらが良い悪いではなく、目的によって使い分けることを確認する。 |
| まとめ | 8 | 「5つのうち、自分がいちばん苦手そうなのはどれか」を書かせて終わる。 |
時間が足りない場合は展開の後半を削り、まとめは削らないでください。「では何ができるか」まで扱わずに終えると、不安だけが残ります。
準備するもの
- ワークシートの印刷(クラス人数分)
ワークシート:5つに分けてみよう
- 最近の1週間で、お金にかかわる行動を5つ書き出します。
- それぞれが「かせぐ・つかう・ためる・そなえる・ふやす」のどれかを書きます。
- 5つのうち、自分がまだやったことがないものはどれかを書きます。
- それは、なぜまだやっていないのかを考えて書きます。
話し合いの問い(答えは1つではありません)
- 「そなえる」は、使わずに終わることもあります。それでも用意しておく意味は何でしょう。
- 大人になったら、5つのうち どれが いちばん むずかしくなると思いますか。
評価の観点
観点別評価の規準として使えるように、ねらいと、それを見取る材料を対応させています。
| 観点 | 評価規準 | 何で見取るか |
|---|---|---|
| 知識・技能 | 「かせぐ・つかう・ためる・そなえる・ふやす」の5つを挙げられる。 | ワークシート②の分類。 |
| 思考・判断・表現 | 自分の生活の行動を5つに分類し、「そなえる」と「ふやす」の違いを説明できる。 | ワークシート②③の記述。 |
| 主体的に学習に取り組む態度 | まだ経験していない働きについて、その理由を自分の生活に即して考えようとしている。 | ワークシート④の記述。 |
指導上の配慮
- 「ふやす」を投資と結びつけて説明するのはこの段階では不要です。「お金にはたらいてもらう」という言い方で十分です。
タネとチエ https://tanetochie.com/for-teachers/five-functions/