1. お金とは何か
45分で1コマ。指導案・ワークシート・話し合いの問い・指導上の配慮をまとめています。
小学校 中学年小学校 高学年45分
児童に配るページは別にあります。このページには発問の答えや指導上の配慮が含まれるので、児童にはこども向けの本文(お金って、なんだろう?)のほうを配ってください。
金融を専門に学んでこられていない場合は、先に先生のための予習をご覧ください。
授業の前に押さえておくこと
- お金の3機能は経済学の標準的な整理です
- 交換手段・価値尺度・価値貯蔵の3つは、経済学の教科書で必ず出てくる整理です。この先の学年の公民でも扱います。小学生には「交換する」「ねうちをはかる」「とっておく」と言い換えれば十分で、用語を覚えさせる必要はありません。
- 「欲望の二重の一致」という概念
- 物々交換が成立するには、お互いのほしいものが一致している必要があります。これを「欲望の二重の一致」といいます。この一致が要らなくなったことが、貨幣の最大の発明です。授業では用語を出さず、ゲームで体験させれば通じます。
- 現在の紙幣は「不換紙幣」です
- かつては金と交換できる兌換紙幣でしたが、現在の日本銀行券は金との交換を保証していません。価値の裏づけは、法律で強制通用力が定められていることと、人々が受け取ると信じていることです。「みんなが信じているから」という説明は、比喩ではなく実態に即しています。
児童から出やすい質問と、答え方
- Q. お金は誰が作っているの?
- 紙幣(日本銀行券)は日本銀行が発行し、国立印刷局が製造しています。硬貨は政府(造幣局)です。「日本銀行が勝手にたくさん刷ったらどうなる?」と聞かれたら、物価が上がる(お金の価値が下がる)という単元4につながります。
- Q. たくさん刷ればみんなお金持ちになれるんじゃないの?
- 良い質問です。ものの量が増えていないのにお金だけ増えると、ものの値段が上がるだけで、買える量は変わりません。実際にそうなった国の例(ハイパーインフレ)もあります。単元4への橋渡しになります。
- Q. 電子マネーはお金なの?
- お金として使えますが、法律上の「通貨」ではなく、発行元への請求権です。発行した会社がなくなると使えなくなる可能性があります。「信じているから成り立つ」という点では紙幣と同じで、信じる相手が国か会社かがちがう、と説明できます。
伝え方で気をつけること
- 「お金は汚いもの」「お金の話をするのははしたない」という価値観を暗に伝えないでください。お金は道具であり、道具の善悪ではなく使い方の問題です。
- 「お金持ちが偉い」という方向にも寄らないでください。この単元は仕組みの話です。
この時間のねらい
- お金がなかったら物のやりとりがどう不便になるかを説明できる。
- お金には「交換する」「価値をはかる」「ためておく」の3つの働きがあることが分かる。
- お金そのものに価値があるのではなく、みんなが信じているから使えることに気づく。
学習指導要領との対応
- 小学校 社会科(第3学年・第4学年): 販売の仕事、生産と消費のつながり
- 小学校 家庭科(第5学年・第6学年): 物や金銭の大切さと計画的な使い方
授業の流れ(45分)
| 段階 | 分 | 内容 |
|---|---|---|
| 導入 | 10 | 「お金がこの世からなくなったら、今日の給食はどうやって手に入れる?」と問いかける。物々交換のむずかしさを、児童の言葉で出させる。 |
| 展開1 | 15 | 物々交換ゲーム。5人ずつのグループに、それぞれちがう「持ち物カード」と「ほしいものカード」を配り、交換だけで全員の希望をかなえられるか試す。多くの場合、途中で行きづまる。 |
| 展開2 | 12 | 同じゲームに「お金カード」を入れて、もう一度やる。今度は成立する。何がちがったのかを言葉にさせ、お金の3つの働きに整理する。 |
| まとめ | 8 | 1万円札を見せ(または画像で示し)、「この紙にどうして1万円のねうちがあるのか」を問う。「みんなが信じているから」という結論に着地させる。 |
時間が足りない場合は展開の後半を削り、まとめは削らないでください。「では何ができるか」まで扱わずに終えると、不安だけが残ります。
準備するもの
- ワークシートの印刷(クラス人数分)
ワークシート:とりかえっこしてみよう
- あなたが持っているものと、ほしいものを1つずつ書きます。
- クラスの中で、とりかえっこだけでほしいものが手に入る相手をさがします。
- 見つからなかった人は、なぜ見つからなかったのかを書きます。
- お金を使うと、どこが便利になるかを1文で書きます。
話し合いの問い(答えは1つではありません)
- お金では買えないものには、どんなものがあるでしょう。
- もし世界中の人が「1万円札はただの紙だ」と思ったら、何が起こるでしょう。
評価の観点
観点別評価の規準として使えるように、ねらいと、それを見取る材料を対応させています。
| 観点 | 評価規準 | 何で見取るか |
|---|---|---|
| 知識・技能 | お金の3つの働き(交換する・価値をはかる・ためておく)を挙げて説明できる。 | ワークシート④の記述。 |
| 思考・判断・表現 | 物々交換で交換が成立しない理由を、相手のほしいものとの食い違いから説明できる。 | ワークシート③の記述。 |
| 主体的に学習に取り組む態度 | お金が使える理由を、みんなが受け取ると信じていることに結びつけて考えようとしている。 | 話し合いの問い②での発言。 |
指導上の配慮
- 家庭の経済状況には差があります。「いくら持っているか」を発表させる場面は作らないでください。
- 物々交換ゲームは、あえて成立しない配り方にすると、お金の必要性が体感できます。
タネとチエ https://tanetochie.com/for-teachers/what-is-money/