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タネとチエ

こどもNISAと、子どもの資産形成

2027年1月から、NISA口座を開設できる年齢の下限がなくなります。通称「こどもNISA」と呼ばれているものです。決まっている内容と、ジュニアNISAを持っている場合の扱い、子ども名義で運用するときの論点を分けて整理します。

公開

2027年1月から、年齢の下限がなくなります

令和8年度税制改正で、NISA口座を開設できる年齢の下限(その年の1月1日時点で18歳以上)が撤廃されました。改正法は2026年3月31日に成立・公布されており、適用されるのは2027年1月1日以後です。0歳から口座を持てるようになります。

「こどもNISA」「こども支援NISA」という呼び方が使われていますが、いずれも通称です。法令上は、NISA口座(非課税口座)に設けられる「未成年者特定累積投資勘定」で、ジュニアNISAのような別建ての制度ではありません。呼称は今後変わる可能性があります。

2027年1月から適用される内容。金融庁「令和8(2026)年度税制改正について」および財務省の改正解説による。
18歳未満(2027年1月から)18歳以上
年間投資枠60万円つみたて投資枠120万円+成長投資枠240万円
非課税保有限度額600万円1,800万円(うち成長投資枠1,200万円)
投資できる商品積立・分散投資に適した一定の投資信託つみたて投資枠は同左、成長投資枠は上場株式・投資信託等
払出し原則不可(12歳以降は要件を満たせば可)制限なし
金融機関未成年の間は1社のみ1人1口座(年単位で変更可)

その年の1月1日時点で18歳になる年からは、特段の手続きなしに成人のつみたて投資枠・成長投資枠へ切り替わります。ジュニアNISAのように課税口座へ払い出される仕組みとは、この点が異なります。

12歳までは引き出せません

18歳未満の間は原則として払出しが制限されます。その年の3月31日に12歳である年からは、資金の使途が本人のためのもの(入学金や授業料などの教育費・生活費)であり、本人が同意したことを示す書類とともに親権者等が申出書を出した場合に限って払い出せます。認められた事由以外で引き出すと、それまでに口座内で生じた利益にさかのぼって課税されます(災害等による払出しと出国による廃止は対象外です)。

「いつから使えるか」は2つに分かれます

混同しやすいのですが、日付は2つあります。ひとつは制度が適用される日で、これは法令で決まっています(2027年1月1日以後)。もうひとつは、金融機関が口座開設の受付をいつから始めるかで、これは金融機関ごとに決まります。

受付の開始は、制度の適用日より前になることがあります。口座を先に用意しておいて、適用日から買い付けが始まる、という形です。いつから受け付けるかは各社の案内でご確認ください。本サイトでは金融機関ごとの取り扱いは扱いません。

「◯月から始まる」という言い方に注意

報道や金融機関の案内で「◯月から」と書かれているとき、それが制度の適用日を指すのか、その会社の受付開始日を指すのかは、書き方によって分かれます。本サイトが出典付きで扱えるのは前者(2027年1月1日以後)だけです。

子どもの枠を使うか、親の枠で持つか

子どものためのお金を、子ども名義の非課税口座に入れるか、親のNISAの中で持っておくか。どちらにも理屈があり、答えは家庭の状況で変わります。

子ども名義の枠に入れる側の理屈

  • 家族全体で非課税で運用できる金額が増える。
  • 18歳で成人の枠へ自動的に移るため、途中で課税口座に出されない。
  • 引き出しにくいので、途中で使ってしまうことを避けやすい。
  • 本人の資産として早くから区分でき、渡す意思がはっきりする。

親の枠で持つ側の理屈

  • 親の生涯枠1,800万円が埋まっていないなら、先に埋めるという整理もできる。
  • 12歳までは原則引き出せないため、家計が苦しくなったときに動かせない。
  • 入れたお金は子どもの財産になり、使い道を親が決められなくなる。
  • 名義預金や贈与の整理が要る。親のお金のままなら、そもそも贈与ではない。

判断が変わるのは、親の非課税枠がどれくらい残っているか、そのお金を途中で使う可能性があるか、そして子どもに渡し切るつもりがあるか、の3点です。ここがはっきりすれば、どちらを選ぶかは自然に決まります。

ジュニアNISAは終了しています

一般NISA・つみたてNISAと同じく、ジュニアNISAも2023年で制度が終了しました。これから新しく口座を開いて買い付けることはできません。

一方で、2023年までに買い付けた分については、扱いが決まっています。

  • 当初の非課税保有期間(5年)が終わると、自動的に「継続管理勘定」に移されます。
  • 継続管理勘定では、口座名義人が18歳になるまで非課税で保有し続けられます。
  • 2024年以降は、年齢や事由に関係なく非課税で払い出せます(もともとあった払出し制限は撤廃されました)。
  • ただし払い出す場合は全額が対象です。一部だけを引き出すことはできず、口座は廃止されます。

18歳になったあと

ジュニアNISAで保有していた分は、18歳になった年の1月1日に課税口座へ移されます。本人のNISA口座に自動で移るわけではありません。移管後の値上がり分には課税されます。

ジュニアNISAと2027年からの枠はつながっていません

2027年から18歳未満でも非課税口座を開けるようになりますが、ジュニアNISAで保有している分がそちらへ移る仕組みは設けられていません。継続管理勘定の分は、これまでどおり18歳になった年の1月1日に課税口座へ移されます。

2024年から2026年までの間は、未成年者が使える非課税口座がない状態が続きます。

子ども名義で運用するときの論点

未成年でも、課税口座(未成年口座)を開設して運用することは可能です。ただし、いくつか実務的な論点があります。

  • 誰のお金かをはっきりさせる。子ども名義の口座に親のお金を入れると、実質的には親の財産(いわゆる名義預金)とみなされることがあります。
  • 贈与するなら贈与として扱う。暦年課税では年間110万円までが非課税です。教育資金や生活費として必要な都度支払うものは、通常は贈与税の対象になりません。
  • 使う時期が近いお金は運用に向かない。大学入学が4年後と決まっているなら、値動きのある商品に置くと必要な時期に足りない可能性があります。
  • 親自身の枠との順番。新しいNISAは1人あたり生涯1,800万円あります。親の非課税枠が残っているうちに子ども名義の課税口座を使う理由は乏しい、という整理が一般的です。

ここで整理した「誰の財産か」という論点は、夫婦の間でも同じように出てきます。世帯の家計を一方が管理していて、収入の大半をもう一方が得ている場合、その扱いが問題になります。

  • NISAもiDeCoも口座は1人1つで、枠は世帯ではなく個人につきます。夫婦それぞれが自分の名義で持つことになります。
  • 入金する人と名義が違うと、子ども名義の場合と同じ論点(名義預金・贈与)が出ます。暦年課税では年間110万円までが非課税です。
  • 生活費や教育費として必要な都度渡すものは、通常は贈与税の対象になりません。まとめて口座に移す形にすると扱いが変わります。
  • NISA口座は本人が亡くなると終了し、非課税のまま引き継ぐことはできません。相続人の課税口座に移ります。

どちらの名義に寄せるべきか、という答えはここでは出しません。収入、勤務先の制度、扶養の範囲、この先の働き方によって変わるためです。ただ「入金元と名義をそろえておく」ことと「非課税は引き継げない」ことは、口座を開く前に知っておくと、あとで動かしやすくなります。

18歳になったら本人の枠が使える

その年の1月1日時点で18歳以上になれば、本人名義でNISA口座を開けます。2027年からは18歳未満でも開設できるようになりますが、非課税口座を使わずに親の枠で運用しておき、必要な時期に渡すという方法も引き続き取れます。

お金の教育という観点

子どものために資産を用意することと、子どもがお金を扱えるようになることは、別のことです。後者のほうが長く効きます。

本サイトには、小学生を対象にした解説を用意しています。小学校の授業でも使える形にしてあります。

出典

  1. [1]金融庁2023年までのNISA(ジュニアNISA)ジュニアNISAは2023年で新規買付を終了。継続管理勘定と払出し制限の扱いを掲載。
  2. [2]金融庁NISAを知る/新しいNISA
  3. [3]金融庁令和8(2026)年度税制改正について(税制改正大綱における金融庁関係の主要項目)つみたて投資枠の対象年齢見直し(0〜17歳・年間60万円・非課税保有限度額600万円)を掲載。令和9年から。
  4. [4]財務省令和8年度税制改正の解説(租税特別措置法等(所得税関係)の改正)所得税法等の一部を改正する法律は令和8年3月31日に成立・公布。未成年者特定累積投資勘定の要件を条文単位で解説している。