11. これからのお金の 見通し
45分で1コマ。指導案・ワークシート・話し合いの問い・指導上の配慮をまとめています。
小学校 高学年45分
児童に配るページは別にあります。このページには発問の答えや指導上の配慮が含まれるので、児童にはこども向けの本文(これからの自分に、いくらかかる?)のほうを配ってください。
金融を専門に学んでこられていない場合は、先に先生のための予習をご覧ください。
授業の前に押さえておくこと
- 三大支出の水準
- 教育費・住宅費・老後の生活費は、いずれも数百万円から数千万円の規模になります。具体的な金額は本サイトの各データページに、出典と基準日つきで掲載しています。授業ではその年の数値をご確認ください。
- ライフプランは当たらなくてよい
- 書いた計画のとおりになる人はほとんどいません。目的は予測の精度ではなく、「選択にはお金の面がある」と気づける頭を作ることです。この点を最初に児童に伝えておくと、書くことへの抵抗が減ります。
- 多様な生き方への配慮
- 結婚・出産・持ち家を前提にした年表にしないでください。単身で生きる、子どもを持たない、賃貸で暮らす、いずれも普通の選択です。選択肢として並べる形にしてください。
児童から出やすい質問と、答え方
- Q. 大学に行かないほうが得なの?
- 金銭面だけを見ると、学費という支出と、生涯賃金の差という収入の両方があります。ただし、進路は金銭だけで決める話ではありません。「お金の面もある」という気づきまでにとどめ、どちらが正しいという結論は出さないでください。
- Q. こんなにお金がかかるなら、無理じゃない?
- ここが大事な場面です。一度に用意する必要はなく、長い時間をかけて準備できること、制度(NISA・iDeCo・奨学金・各種手当)があること、そもそも支出そのものを選べることの3つを示してください。不安で終わらせないことが重要です。
- Q. 家がお金持ちの人が有利ってこと?
- 経済的な出発点にちがいがあるのは事実です。それを否定する必要はありません。同時に、制度や時間の使い方で埋められる部分もあります。この問いを、単元9の「みんなで支えるところと、自分で用意するところ」の話につなげると建設的です。
伝え方で気をつけること
- 家庭の経済状況の差が表に出やすい単元です。書いた内容を全体の場で発表させないでください。
- 不安をあおって終わらないでください。「では何ができるか」まで必ず扱ってください。
- 特定の進路・生き方を推奨しないでください。
この時間のねらい
- お金が大きくいる時期が、一生のうちに何回かあることをイメージできる。
- 学ぶこと・住むところといった えらび方に、お金の面があることが分かる。
- これまでの話をつないで、いま自分にできることを1つ言葉にできる。
学習指導要領との対応
- 小学校 家庭科(第5学年・第6学年): 家族の生活と家庭の仕事、物や金銭の計画的な使い方
- 小学校 特別活動: 将来の生き方を考える活動
- 小学校 総合的な学習の時間: 自分の生き方を考える
授業の流れ(45分)
| 段階 | 分 | 内容 |
|---|---|---|
| 導入 | 8 | 「20歳の自分は、どこで、誰と、何をしていると思う?」と問い、自由に書かせる。 |
| 展開1 | 15 | 10歳から60歳までの年表シートに、進学・働く・引っ越しなど、起こりうる出来事を書き込む。正解はないので自由に。 |
| 展開2 | 14 | 学ぶためのお金・住むためのお金の目安データを配り、年表の該当する時期に金額を書き込む。合計を出す。 |
| まとめ | 8 | 「思ったより大きい」という反応を受けて、では何ができるかを考える。①長い時間をかける ②使いみちを自分で選ぶ ③大人になったら使えるしくみがある、の3つを示して終わる。 |
時間が足りない場合は展開の後半を削り、まとめは削らないでください。「では何ができるか」まで扱わずに終えると、不安だけが残ります。
準備するもの
- 10歳から60歳までの年表シート(1人1枚)
- 学ぶためのお金・住むためのお金の目安データ(本サイトの該当ページから印刷。基準日を確認すること)
- 電卓(1人1台、またはグループに1台)
ワークシート:わたしの年表
- 10さいから60さいまでの年表に、起こるかもしれないことを書きこみます。
- 大きなお金が いりそうな時期に、しるしをつけます。
- 配られた目安のデータから、その金額を書きこみます。
- 合計すると、いくらになりますか。
- この金額を用意するために、今日からできることを1つ書きます。
話し合いの問い(答えは1つではありません)
- 同じだけ お金をもらっていても、たまる人と たまらない人がいます。何が ちがうのでしょう。
- お金のことだけで決めると、何か 失われるものは あるでしょうか。
評価の観点
観点別評価の規準として使えるように、ねらいと、それを見取る材料を対応させています。
| 観点 | 評価規準 | 何で見取るか |
|---|---|---|
| 知識・技能 | お金が大きく必要になる時期を、出来事と結びつけて説明できる。 | ワークシート①②の記入。 |
| 思考・判断・表現 | 学ぶこと・住むところといった選択にお金の面があることを、自分の年表の上で示せる。 | ワークシート③④の記入。 |
| 主体的に学習に取り組む態度 | 見通しの立たなさを不安のまま残さず、今日からできることを1つ挙げようとしている。 | ワークシート⑤の記述。 |
指導上の配慮
- 結婚・出産を前提とした書き方を強制しないでください。多様な生き方が並ぶよう、選択肢として示します。
- 家庭の経済状況の差が表に出やすい単元です。書いた内容を全体発表させるのではなく、書くこと自体を目的にしてください。
- 合計金額の大きさで終わらせないでください。まとめの3つ(時間・選ぶこと・しくみ)まで必ず扱います。
- 本サイトのシミュレーターを使うと、この年表の金額をその場で試算できます。
タネとチエ https://tanetochie.com/for-teachers/life-plan/