10. だまされないために
45分で1コマ。指導案・ワークシート・話し合いの問い・指導上の配慮をまとめています。
小学校 高学年45分
児童に配るページは別にあります。このページには発問の答えや指導上の配慮が含まれるので、児童にはこども向けの本文(その話、ほんとう?)のほうを配ってください。
金融を専門に学んでこられていない場合は、先に先生のための予習をご覧ください。
授業の前に押さえておくこと
- 成年年齢引き下げの影響
- 2022年4月から成年年齢が18歳になりました。18歳・19歳は未成年者取消権を使えなくなったため、消費者トラブルの標的になりやすいと指摘されています。小学校の段階では、この話に踏み込む必要はありません。「大人になると自分で決められる」という程度の背景として押さえてください。
- クーリング・オフは万能ではありません
- 訪問販売や電話勧誘販売などには適用されますが、自分から店舗に出向いた場合や、通信販売には原則適用されません。「あとで取り消せる」と思わせない伝え方が必要です。
- 無登録業者の見分け方
- 金融商品取引業を行うには登録が必要です。金融庁のウェブサイトで登録業者を検索できます。また、金融庁は「無登録で金融商品取引業を行う者の名称等」も公表しています。小学校の授業でこの検索まで扱う必要はありません。先生自身の確認用としてお使いください。
- 確証バイアスと同調圧力
- 人は自分の考えを支持する情報を集めやすく(確証バイアス)、周囲が同じ行動をとっていると従いやすくなります(同調)。詐欺の手口はこの2つを利用します。心理の仕組みとして扱うと、児童が自分ごとにしやすくなります。
児童から出やすい質問と、答え方
- Q. 友達に誘われたら、どう断ればいいの?
- 「家族に相談してから決める」と言って、その場で決めないのが有効です。断りにくいのは自然なことです。断れなかった自分を責めないでよい、と伝えてください。関係を守るために契約する必要はありません。
- Q. もうだまされてしまった場合は?
- できるだけ早く消費者ホットライン188に相談してください。時間が経つほど回収は難しくなります。「恥ずかしい」と黙ってしまうのがいちばん損をします。学校としても、相談先を具体的に伝えておくことが重要です。
- Q. SNSで有名な人が言っているなら本当じゃないの?
- 有名であることと、正しいことは別です。また、発信者が広告収入や商品の販売で利益を得ている場合もあります。3つの問い(誰が得をするか・出どころはどこか・反対意見はあるか)を通すよう促してください。
伝え方で気をつけること
- 実在する個人・サービスを教材にしないでください。名誉毀損のおそれがあります。架空の教材を作成してください。
- 児童や家族が被害に遭っている可能性があります。授業後に個別に相談できる時間を確保しておいてください。
- 「だまされる人が悪い」という空気を作らないでください。手口は巧妙で、誰でも遭いうるものです。
この時間のねらい
- あやしい さそい方に共通する形を知る。
- 言っている人に どんな都合があるかを考えて、情報を読めるようになる。
- こまったときに 話す相手を知る。
学習指導要領との対応
- 小学校 家庭科(第5学年・第6学年): 買物のしくみ、消費者としての自分の役割
- 小学校 道徳: 正直、誠実、よりよく生きる態度
- 小学校 総合的な学習の時間: 情報モラル、情報を確かめて判断する
授業の流れ(45分)
| 段階 | 分 | 内容 |
|---|---|---|
| 導入 | 8 | 「1日5分で、だれでも1万円もらえる」という架空の広告を見せ、どこがおかしいかを考えさせる。 |
| 展開1 | 14 | よくある形(もうけ話、友だちを誘わせる形、無料をうたう形)を並べ、共通するパターンを取り出す。 |
| 展開2 | 15 | 架空の投稿を配り、「3つの問い」を当てはめて検証する。 |
| まとめ | 8 | 「1人で決めない、すぐに決めない」を全員で確認する。相談先(おうちの人・先生・消費者ホットライン188)をメモする。 |
時間が足りない場合は展開の後半を削り、まとめは削らないでください。「では何ができるか」まで扱わずに終えると、不安だけが残ります。
準備するもの
- 架空の広告と架空の投稿(教員が作成。実在するサービス名・個人名・団体名は使わないこと)
- ワークシートの印刷(クラス人数分)
ワークシート:3つの問いで たしかめる
- 配られた書きこみを読みます。
- ①この人は、これを言うと 何が うれしいのでしょう。
- ②数字の出どころは どこですか。書いてありますか。
- ③これに 反対する人がいるとしたら、どんなことを言うでしょう。
- この書きこみを 信じてよいか、りゆうをつけて書きます。
話し合いの問い(答えは1つではありません)
- なぜ「今日中に決めて」と急がせるのでしょう。急がせると、何が とくなのでしょう。
- 友だちに もうけ話を さそわれたとき、ことわりにくいのは なぜでしょう。どう言えばよいでしょう。
評価の観点
観点別評価の規準として使えるように、ねらいと、それを見取る材料を対応させています。
| 観点 | 評価規準 | 何で見取るか |
|---|---|---|
| 知識・技能 | あやしい誘い方に共通する形と、困ったときの相談先(おうちの人・先生・188)を挙げられる。 | まとめの発言とワークシート⑤。 |
| 思考・判断・表現 | 言っている人の都合・数字の出どころ・反対意見という3つの問いを当てはめて、書きこみを検証できる。 | ワークシート②③④の記述。 |
| 主体的に学習に取り組む態度 | 断りにくさを自分のこととして捉え、断り方を具体的に考えようとしている。 | 話し合いの問い②での発言。 |
指導上の配慮
- 実在するサービスや個人を教材にすると名誉毀損のおそれがあります。架空の教材を作成してください。
- 児童や家族が被害に遭っている可能性があります。個別に話せる時間を、授業後に確保しておいてください。
- 消費者ホットライン188は全国共通です。ただし、この年齢ではまず身近な大人に話すことが先です。番号は「大人が使える相談先がある」という安心材料として示してください。
タネとチエ https://tanetochie.com/for-teachers/scams-and-media/