見直しとリバランス
配分を決めても、放っておくと崩れます。値上がりしたものの比率が上がっていくからです。それをどう戻すか、そもそも戻すべきかの話です。
目的は「増やす」ことではありません
リバランスの主な目的は、リターンを高めることではなく自分が決めたリスクの水準を保つことです。放置すると、気づかないうちに想定より大きなリスクを取っている状態になります。
放っておくとどうなるか
株式50%・債券50%で始めたとします。10年後、株式が2倍になり債券が1.2倍になっていたら、比率は株式62% : 債券38% になっています。自分では何も変えていないのに、リスクが上がっています。
さらに20年、30年と続けると、株式の比率は際限なく上がっていきます。「気づいたら株式95%だった」という状態は、こうして起きます。
条件を入力
使っているリターンの系列は固定です(株式が大きく振れ、債券が緩やかに増える20年分)。実際の相場ではなく、方式による違いを見るためのものです。
20年後の資産(開始時=100)
233.6
リバランスした回数
20回
配分が最も崩れたとき
0.0pt
目標配分からの差
方式による資産の推移のちがい
単位: 開始時 = 100
- リバランスしない
- 定期(毎年)
- 乖離幅(±5pt)
どの方式が有利かは、使うリターンの系列によって変わります。この例で差が小さいのは偶然ではなく、リバランスの効果がもともと控えめだからです。
データを表で見る
| 経過年 | リバランスしない | 定期(毎年) | 乖離幅(±5pt) |
|---|---|---|---|
| 0年 | 100.0 | 100.0 | 100.0 |
| 1年 | 110.0 | 110.0 | 110.0 |
| 2年 | 104.5 | 105.1 | 104.5 |
| 3年 | 118.0 | 118.7 | 118.0 |
| 4年 | 124.2 | 124.6 | 123.9 |
| 5年 | 111.0 | 113.4 | 112.2 |
| 6年 | 127.9 | 131.0 | 129.6 |
| 7年 | 137.6 | 140.2 | 138.7 |
| 8年 | 133.0 | 136.7 | 134.9 |
| 9年 | 144.5 | 147.6 | 145.6 |
| 10年 | 162.6 | 163.8 | 162.3 |
| 11年 | 135.3 | 143.4 | 142.0 |
| 12年 | 159.5 | 167.7 | 166.2 |
| 13年 | 170.3 | 177.8 | 176.2 |
| 14年 | 177.5 | 184.9 | 183.3 |
| 15年 | 162.3 | 172.9 | 170.6 |
| 16年 | 183.6 | 192.8 | 189.5 |
| 17年 | 194.1 | 202.4 | 199.2 |
| 18年 | 188.8 | 199.4 | 195.5 |
| 19年 | 210.5 | 218.3 | 214.7 |
| 20年 | 228.4 | 233.6 | 229.7 |
配分の崩れ方
単位: ポイント
- リバランスしない
- 定期(毎年)
- 乖離幅(±5pt)
リバランスしないと、値上がりした資産の比率がどんどん高くなります。「気づいたら株式95%だった」という状態はこうして起きます。
データを表で見る
| 経過年 | リバランスしない | 定期(毎年) | 乖離幅(±5pt) |
|---|---|---|---|
| 0年 | 0.0pt | 0.0pt | 0.0pt |
| 1年 | 3.6pt | 0.0pt | 3.6pt |
| 2年 | 0.3pt | 0.0pt | 0.3pt |
| 3年 | 5.0pt | 0.0pt | 0.0pt |
| 4年 | 6.4pt | 0.0pt | 1.4pt |
| 5年 | 0.7pt | 0.0pt | 0.0pt |
| 6年 | 5.6pt | 0.0pt | 0.0pt |
| 7年 | 7.9pt | 0.0pt | 2.3pt |
| 8年 | 5.1pt | 0.0pt | 0.5pt |
| 9年 | 8.3pt | 0.0pt | 2.8pt |
| 10年 | 12.2pt | 0.0pt | 0.0pt |
| 11年 | 2.3pt | 0.0pt | 0.0pt |
| 12年 | 9.9pt | 0.0pt | 0.0pt |
| 13年 | 11.7pt | 0.0pt | 1.9pt |
| 14年 | 12.1pt | 0.0pt | 2.4pt |
| 15年 | 7.8pt | 0.0pt | 2.2pt |
| 16年 | 12.3pt | 0.0pt | 2.5pt |
| 17年 | 13.6pt | 0.0pt | 4.0pt |
| 18年 | 11.5pt | 0.0pt | 1.7pt |
| 19年 | 15.1pt | 0.0pt | 0.0pt |
| 20年 | 17.2pt | 0.0pt | 2.3pt |
選択中の方式(定期(毎年))では、配分のずれが最大 0.0%まで広がりました。リバランスの主な目的は資産を増やすことではなく、自分が決めたリスクの水準を保つことです。
3つの方式
1. 定期リバランス
「毎年◯月」と決めて、そのときに配分を目標に戻します。いちばん単純で、判断が入りません。年1回で十分とされることが多く、頻度を上げても効果はあまり変わらないと言われます。
2. 乖離幅リバランス
「目標から±5ポイント以上ずれたら戻す」というルールです。相場が動かない年は何もしなくてよく、大きく動いた年だけ対応します。売買の回数が減るぶん、コストと税を抑えられます。
3. ノーセルリバランス
売らずに、新しく入れるお金の配分だけを変えて調整する方法です。比率が下がった資産を多めに買う形にします。
売却しないので、課税口座では税金が発生せず、NISA の枠も消費しません。積立を続けている間は、この方法がもっとも無理がありません。ただし、ずれが大きいと戻しきるのに時間がかかります。
売ると何が起きるか
- 課税口座では税金がかかります。利益が出ている資産を売ると、その時点で20.315%が課税されます。リバランスのたびに税を前払いすることになるため、頻度は少ないほうが有利です。
- NISA では枠を消費します。売却した分の枠は翌年以降に復活しますが、その年の年間投資枠は使い切っている可能性があります。買い直せるとは限りません。
- 売買手数料がかかることがあります。ノーロードの投資信託なら通常はかかりませんが、ETF では売買のたびに手数料が発生します。
だから、まずノーセルから
積立を続けている段階では、新規の資金で調整する(ノーセル)ことを基本にして、それでも戻しきれないときだけ売る、という順序が実務的です。税もNISA枠も消費しません。
やりすぎないこと
リバランスの効果は、実はそれほど大きくありません。上のシミュレーションでも、方式による差は小さく出ます。
頻繁に売買すると、税とコストのほうが効果を上回ることがあります。「年1回だけ確認する」「±5ポイント以上ずれたときだけ動く」くらいで十分です。
そもそも1本にする、という選択
バランス型ファンドや全世界株式のインデックスファンド1本なら、リバランスはファンドの中で行われます。自分でやることは何もありません。
手間を減らすことには、それ自体に価値があります。判断の回数が減るほど、途中でやめる確率も下がるためです。
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