下落したときにどうするか
長期投資でいちばん多い失敗は、商品選びの誤りではなく、下落したときに売ってしまうことです。ここは知識より、あらかじめ決めておく仕組みの問題です。
最終更新 / 公開
下落は例外ではない
下落は事故ではなく、料金。
なぜ: 株式の高いリターンは、途中で大きく下がることを引き受ける対価として支払われています。下落は制度の故障ではなく、リターンを得るために払う代金です。払う気がないなら、その商品を選ばない、という判断になります。
株式市場は、数年に一度は10〜20%程度、十数年に一度は40〜50%程度の下落を経験してきました。これは制度の故障ではなく、株式が高いリターンを持つ理由そのものです。
もし下落しないなら、株式のリターンは預金と同じ水準まで下がります。誰もが安全に高いリターンを得られる状態は、市場では長続きしません。下落を引き受けることが、リターンの源です。
売ってしまう理由
- 損失の痛みは、同じ額の利益の喜びより強く感じられる(損失回避)。だから「これ以上減る前に」と思ってしまう。
- 下落局面では、悲観的なニュースが増える。情報の量が判断を引っ張る。
- 周りが売っている(ように見える)と、自分だけ残るのが不安になる。
- 「一度売って、下がりきったら買い戻そう」と考える。しかし戻るタイミングは分からない。
売って待つのが難しい理由
上昇の大部分は、ごく限られた日数に集中して起こります。しかもその日は、悪いニュースが続いた直後に来ることが多いのです。「落ち着いてから戻ろう」と考えると、その日を過ぎてから戻ることになりがちです。大事なのは、いつ買うかより、どれだけ長く持つか。
なぜ: 値上がりの大部分は、ごく限られた日数に集中して起こります。相場から離れている期間があると、その日を取り逃がす確率が上がります。底を当てるより、居続けるほうが再現性があります。
来る前に決めておくこと
- 見る頻度を決める。「年1回、誕生月だけ」のように、あらかじめ決めておきます。
- 積立を止めない、と決めておく。下がっている月は、同じ金額でより多く買えています。
- 売る条件を決めておく。「使うときが来たら売る」以外の条件を作らない、という決め方でも構いません。
- 配分を決めておく。下落したときの金額を、あらかじめ計算して見ておきます。
4つ目が効きます。「1,000万円が600万円になる」と数字で見ておくと、実際にそうなったときの衝撃が小さくなります。逆に、見たことがない数字を初めて見ると、判断が揺れます。
売ってしまう場面では、何が起きているのか
下落のときに手放してしまう、という場面
- 問 下がったときに売ってしまうのは、どういう流れで起きるのか
- 答 始めて間もない時期に資産が大きく減り、毎日残高を見ているうちに耐えられなくなって全部手放す、という流れが語られることがあります。その後に値が戻っても、「また下がるかもしれない」と思って買い直せないまま時間が過ぎる、ということも起こりえます。
- 問 引き金は、毎日残高を見ていたことなのか
- 答 見る回数が引き金になった、という整理のされ方をよくします。
- 問 見ていなくても資産が減っていることは同じだ。見る回数の話だけにしてよいのか
- 答 そのとおりで、上の説明は言葉が足りていません。見る回数は引き金のほうで、その手前に、値下がりしたときに自分の残高がいくらになるかを一度も数字で見ていなかった、という下地があると説明されます。数字を初めて見るのが減ったあとになると、判断が揺れやすくなると言われます。
- 問 配分そのものが合っていなかった、ということもあるのか
- 答 あります。手放したあとで株式の比率を下げ、その形なら続けられた、という経過をたどることもあります。
- 問 比率を下げたら、増えにくくならないのか
- 答 期待できる増え方は小さくなります。ただ、続けられるかどうかも結果に効きます。どちらがよかったかを後から確かめる方法はないので、正解として示せるものではありません。「耐えられる配分」ではなく「続けられる配分」という見方をすると、自分で選びやすくなる、という整理のしかたがあります。
積立額を下げてもいい
どうしても続けられないと感じたら、全部やめるより、積立額を下げるほうが良い選択です。ゼロにすると再開しにくくなります。
また、そもそも配分が自分に合っていなかった可能性もあります。「耐えられなかった」という事実は、リスク許容度についての貴重な情報です。次に決めるときの材料にできます。
耐えられる比率ではなく、続けられる比率を選ぶ。
なぜ: 理屈の上で耐えられるはずの配分でも、実際に資産が3割減るのを見ると人は売ってしまいます。途中でやめる配分より、続けられる控えめな配分のほうが、結果として成績が良くなることがあります。