8. 会社と 株式
45分で1コマ。指導案・ワークシート・話し合いの問い・指導上の配慮をまとめています。
小学校 高学年45分
児童に配るページは別にあります。このページには発問の答えや指導上の配慮が含まれるので、児童にはこども向けの本文(会社に、お金を出すということ)のほうを配ってください。
金融を専門に学んでこられていない場合は、先に先生のための予習をご覧ください。
授業の前に押さえておくこと
- 株式会社は「大きな事業を、失敗しても再起できる形で始める」ための仕組み
- 大きな事業には多額の資金が要りますが、1人では用意できず、失敗したときの損失も背負いきれません。そこで多くの人から少しずつ集め、出した額を超えては責任を負わない(有限責任)形にしたのが株式会社です。歴史的には大航海時代の航海ごとの出資が原型とされます。この「出した額より多くは取られない」という約束が、出資を集められるようにした発明です。
- 株主が得るのは、配当と、持ち分の価値の変化と、議決権
- 利益の分配(配当)、株価の変動、そして株主総会での議決権の3つです。議決権があることが「会社の一部を持っている」ことの実質で、単に値上がりを待つ人ではない、という点は伝える価値があります。
- 株価が動く理由は、突きつめると「その会社の将来をどう見るか」
- 業績、金利、経済全体の見通し、そして人々の期待で動きます。予測は専門家でも当たりません。ここで「上がる会社を見つける方法」の話に入らないでください。仕組みの理解にとどめるのが、この単元の設計です。
児童から出やすい質問と、答え方
- Q. 株ってギャンブルじゃないんですか?
- よく出る質問です。ギャンブルは参加者の間でお金を移し替えるだけで、全体としては増えません(胴元の取り分だけ減ります)。株式は、会社が事業で生み出した価値を分け合う仕組みなので、全体が増えることがあります。ただし短い期間の売買で当てようとすれば、結果としてギャンブルに近づきます。「仕組みがちがうが、使い方によっては似てくる」という答え方が正確です。
- Q. 株価はなぜ動くの?
- 買いたい人と売りたい人の数で決まります。値段が需要と供給で動くのは単元4と同じです。ちがうのは、株の場合「将来どうなりそうか」の予想が入ることです。だから業績の発表だけでなく、予想の変化でも動きます。
- Q. 会社がつぶれたら、株を持っていた人はどうなるの?
- 出したお金は戻らないことがほとんどですが、それ以上に請求されることはありません(有限責任)。ここが借金との大きなちがいです。ワークシートの⑤で必ず扱ってください。
- Q. 有名な会社の株を買えば安心じゃないの?
- 有名かどうかと、これから業績が伸びるかどうかは別の話です。過去に大きかった会社が業績を落とした例もあります。ここは特定の企業名を挙げずに、一般論として答えてください。
伝え方で気をつけること
- 具体的な企業名を扱うときは、投資の推奨と受け取られないよう、あくまで「調べる対象」として扱ってください。値上がりしそうな会社を探す活動にはしないでください。
- 「株主がいちばん偉い」という構図にしないでください。働く人、取引先、お客さんに対する責任も同時にあります。話し合いの問い①はそのための時間です。
- 有限責任を「損しない」と誤って伝えないでください。出したお金は失う可能性があります。失うのは出した額までだ、という限定が要点です。
この時間のねらい
- たくさんの人からお金を集めるしくみが、なぜ生まれたかを説明できる。
- 株主が何をする人で、何を受け取るのかを説明できる。
- 株式を買うことが「会社の一部を持つこと」だと分かる。
学習指導要領との対応
- 小学校 社会科(第5学年): 我が国の工業生産、生産に関わる人々のくふう
- 小学校 社会科(第3学年・第4学年): 販売の仕事、地域の仕事
- 小学校 総合的な学習の時間: 身のまわりの品物と、それを作る人を調べる
授業の流れ(45分)
| 段階 | 分 | 内容 |
|---|---|---|
| 導入 | 8 | 「1億円かかることを、1人1,000円しか出せない人たちだけで始めるにはどうする?」と問う。 |
| 展開1 | 14 | 模擬会社づくり。グループで架空の会社を考え、必要なお金と、何人から集めるかを決める。株式にあたる「しるし」を発行する体験をする。 |
| 展開2 | 15 | 身の回りの品物から、それを作っている会社を調べる。多くの人がお金を出し合って成り立っていることを確認する。 |
| まとめ | 8 | 株式=会社の一部、という定義を確認する。値段の上下だけを見る見方とのちがいに触れる。 |
時間が足りない場合は展開の後半を削り、まとめは削らないでください。「では何ができるか」まで扱わずに終えると、不安だけが残ります。
準備するもの
- ワークシートの印刷(グループ数分)
- 「しるし」に見立てた用紙(グループ数分)
ワークシート:会社をつくってみよう
- グループで、やってみたいことを1つ考えます。
- それに ひつような お金を、だいたいで見つもります。
- 1人あたり いくらずつ、何人から集めれば足りますか。
- お金を出してくれた人には、どんな お礼があるとよいでしょう。
- うまくいかなかったとき、出してくれた人はどうなりますか。
話し合いの問い(答えは1つではありません)
- 会社は、お金を出した人のためだけに あるのでしょうか。はたらく人や、お客さんに対しては、どんな責任があるでしょう。
- 会社を選ぶとき、もうかりそうかどうか以外に、見るとよいことはあるでしょうか。
評価の観点
観点別評価の規準として使えるように、ねらいと、それを見取る材料を対応させています。
| 観点 | 評価規準 | 何で見取るか |
|---|---|---|
| 知識・技能 | 株主が何をする人で、何を受け取るのかを説明できる。 | ワークシート④の記述。 |
| 思考・判断・表現 | 必要なお金を見積もり、何人からいくらずつ集めれば足りるかを筋道立てて考えられる。 | ワークシート②③の記述。 |
| 主体的に学習に取り組む態度 | 会社の責任を、お金を出した人以外の立場からも考えようとしている。 | 話し合いの問い①での発言。 |
指導上の配慮
- 具体的な企業名を扱うときは、投資の推奨と受け取られないよう、あくまで「調べる対象」として扱ってください。
- 「出したお金より多くは取られない」という約束を、法律の用語では有限責任と呼びます。児童向けの本文には用語を出していません。質問が出たときだけ名前を教えてください。
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