元本保証という言葉の読み方
「元本保証で高利回り」。この2つが並んだ時点で、中身を聞く前に止まってよい理由があります。相手の話がうまいかどうかではなく、組み合わせのほうに無理があるからです。
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なぜ、同時には成り立たないのか
リターンは、誰かが引き受けたがらないものを引き受けた対価として受け取るもの、と説明されます。値下がりするかもしれない、返ってこないかもしれない、いつ戻るか分からない。この不確かさを引き受ける人がいるから、その分だけ高い見返りが用意されます。不確かさを消してしまえば、見返りが高い理由のほうも一緒に消えます。
かりに、リスクを取らずに高い利回りが得られる仕組みが本当にあったとします。それが知られれば、そこにお金が集まります。集まれば買われて値段が上がり、あとから入る人の利回りは下がっていきます。うまい話は、見つかった時点から埋まりはじめる、という構造になっています。
この図でいうと、「元本保証で高利回り」は左下の安全な側にいながら、右上の高い見返りだけを受け取る、という位置を主張していることになります。そこに点が置ける仕組みが見つかったのなら、なぜその話が自分のところに来たのか、というほうが問いになります。
保証には、必ず保証する人がいる
保証は約束です。約束である以上、それを引き受けている誰かがいます。本物の保証なら、「誰が」「何を原資に」「どこまで」の3つが必ず特定できます。公的な制度による保護であれば、この3つは法令や運営元の公式な説明に書かれていて、こちらから確かめにいけます。
逆にいうと、この3つが特定できない「保証」は、保証ではなく言い回しです。次の順で聞いていくと、どちらなのかが分かれます。
- 保証しているのは誰か。売っている本人が「自分が保証する」と言っている場合、その人が返せなくなれば保証も同時に消えます。
- 何を原資に保証するのか。「運用がうまくいったら返す」は、保証ではなく見通しです。
- どこまでが対象か。元本だけなのか、利息も含むのか、上限はあるのか。
- 保証が破れる条件は書かれているか。書かれていない保証は、範囲が決まっていないということです。
- 保証がついている分、利回りは低くなっているか。保証と高さの両方があるなら、どちらかが本当ではありません。
似た言葉が、同じ範囲を指すとはかぎらない
「元本が保証される」と「元本が確保される」のように、よく似た言い方が別のことを指している場合があります。どの条件のもとで、どこまでを指す言葉なのかは、仕組みごとに決まっています。同じように読めるからといって、同じ約束だとはかぎりません。「高利回り」の数字を、どう読むか
利回りの数字は、書き方ひとつで大きくも小さくも見せられます。中身を評価しなくても、その数字が何を指しているかを聞くだけで、話が止まることがあります。
- どの期間あたりの数字か。月あたりの数字を、年あたりのように見せている場合があります。
- 実績か、想定か。「想定利回り」は誰かが置いた仮定であって、約束ではありません。
- 何を引いたあとの数字か。手数料や税金を引く前の数字は、手元に残る額とは違います。
- 誰が計算したのか。売っている側が自分で出した数字を、第三者が確かめられる形になっているか。
数字の出どころをたどれない、聞くと話がそれる、書面をくれない。この反応自体が、聞きたかったことへの答えになっています。
止まったあとに、できること
見分けがついても、その場で断れなければ意味がありません。断るための理屈をそろえるより、判断を先送りする手順を持っておくほうが実際的だと言われます。
- その場で答えない。「持ち帰って考えます」で足ります。考える時間を渡さない売り方のほうが、例外的です。
- 書面をもらう。口頭でしか言わないことは、あとから確かめられません。
- 相手が金融商品取引業者として登録されているかを確かめる。金融庁のウェブサイトで検索できます。
- 誰かに話す。一人で抱えないほうが、判断が戻りやすいと言われます。
断る理由を用意しなくていい
相手の説明を論破する必要はありません。「分からないものは買わない」で足ります。説明を聞き続けるほど断りにくくなるように組み立てられていることがあるので、理解してから断ろうとしなくてよい、という考え方があります。典型的な手口の一覧と、実際に相談できる窓口は、別の記事にまとめてあります。