長期金利が約30年ぶりの水準になりました
「長期金利が3%」というニュースが流れました。財務省が公表する10年国債の金利は、2026年9月1日時点で2.987%です。3%以上だったのは1996年9月6日が最後なので、約30年ぶりの水準ということになります。ただ、この数字が自分の何に効くのかは、借りている側か、持っている側か、これから買う側かで反対になります。そこを切り分けます。
公開
何を指している数字か
ニュースで「長期金利」と言うとき、多くの場合は10年満期の国債の利回りを指しています。国が10年間お金を借りるときの金利です。
国債は市場で売買されているので、この利回りは日々動きます。国債が買われれば価格が上がって利回りは下がり、売られれば価格が下がって利回りは上がります。価格と利回りは、いつも逆に動きます。
住宅ローンの固定金利も、企業が社債を出すときの金利も、この10年国債の利回りを土台にして決まります。土台が動けば、その上に乗っているものが順に動きます。長期金利がニュースになるのは、そのためです。
報道の数字と、このサイトの数字がずれることがあります
本サイトが載せているのは、財務省が毎営業日に公表する国債金利情報です。これは特定の銘柄の利回りではなく、その日に取引されている複数の国債から金利の曲線を作り、満期までの年数をそろえて算出した値です。報道が「長期金利が3%」と言うときに使うのは、新発10年物国債という特定の銘柄の利回りで、取引時間中の値であることもあります。作り方も、いつの時点かも違うので、小数第2位以下はずれます。2026年9月1日時点の財務省の公表値は2.987%です。どこから、どこまで動いたのか
10年国債の金利が3%以上だったのは1996年9月6日が最後です。そこから下がり続け、2016年7月27日には-0.297%と、マイナスまで沈んでいます。国にお金を貸すと利息をもらうどころか目減りする、という状態が起きていました。
そこから上がってきました。2020年の年末は0.035%、2025年の年末で2.066%です。いま起きているのは「金利のある状態に戻りつつある」という変化だと言えます。
推移の全体と、年限ごとの金利は統計のページに載せています。金利が動く理由(政策金利の見通し、物価、財政の見られ方、海外の金利)も、そちらで整理しています。
過去の水準に並んだことは、過去と同じことが起きる根拠にはなりません
当時と比べて、国の債務残高も、人口の構成も、物価の動き方も違います。約30年ぶりというのは水準の話であって、この先どうなるかの話ではありません。金利の先行きは、専門家にも分かりません。借りている側に効くこと
- 住宅ローンの固定金利は、長期金利に連動します。これから借りる人と、固定期間が終わって借り換える人に効きます。すでに全期間固定で借りている人の金利は変わりません。
- 変動金利が見ているのは長期金利ではありません。土台は短期の金利です。長期金利が動いてもすぐには変わりませんが、どちらも同じ「利上げの見通し」に反応するので、無関係でもありません。
- 奨学金や事業性の借入も、新しく契約するものから順に効きます。
固定と変動のどちらがよいか、という問いには、ここでは答えを出しません。金利の先行きが読めない以上、どちらにも外れ方があるためです。返済額が上がった場合に耐えられるかを試算しておくことが、どちらを選んでいる人にも共通してできることです。
持っている側・これから買う側に効くこと
- 預金の金利は、上がるとしても遅れます。市場の金利にそのまま連動するわけではなく、銀行が決めるものだからです。
- すでに持っている債券や債券ファンドの価格は下がります。残っている期間が長い債券ほど、下げ幅は大きくなります。
- これから買う人にとっては、期待できる利回りが上がっています。同じものが、以前より高い利回りで買える状態です。
「金利が上がったから債券」とは、ここでは言いません
期待できる利回りが上がったことは事実ですが、それが自分にとって良い選択かどうかは、いつ使うお金なのか、ほかに何を持っているのか、借入があるかで変わります。本サイトは商品や配分を勧めない方針です。では、何ができるか
- 自分の借入が固定か変動かを確認する。変動なら、見直しの時期がいつかも契約書で確認する。
- 金利が上がった場合の返済額を試算しておく。いまの金利だけで比べると、判断を誤ることがあります。
- 持っている資産のうち、金利で動く部分がどれくらいあるかを把握する。
- ニュースの数字が自分の何に効くのかを、借りている側・持っている側・これから買う側に分けて考える。
金利が動いたからといって、積み立てているものを止めたり、配分を組み替えたりする必要があるとは限りません。金利の先行きが読めないことは、上がる前も後も変わっていないからです。どちらに動いても致命傷にならない形にしておく、という考え方は、この変化の前後で変わりません。
出典
- [1]財務省「国債金利情報」(利用条件: 公共データ利用規約(第1.0版))毎営業日に公表される年限別の金利(半年複利ベースの最終利回り)。1974年以降の日次データが公開されている。特定の銘柄の利回りではなく、複数の銘柄から作ったその日のイールドカーブから、満期までの年数をそろえて算出した値(コンスタントマチュリティーベース)。