本文へスキップ
タネとチエ

インデックスファンドという仕組み

投資について調べ始めると、すぐに「インデックスファンド」という言葉に出会います。よく聞く言葉ですが、何をどう持つ商品なのかを仕組みから説明できる人は多くありません。ここでは商品の名前ではなく、その裏側にある決まりごとの側から整理します。

解説

最終更新

「指数」とは、市場を1つの数字にしたもの

指数(インデックス)は、たくさんの株式や債券の値動きを、あらかじめ決めた規則でまとめて1つの数字にしたものです。ニュースで聞く「日経平均」や「ダウ平均」も指数の一種で、市場全体がどちらに動いたかを一目で見るために作られています。

大事なのは、どの銘柄をどれだけの比率で入れるかが、人の意見ではなく規則で決まっている点です。よく使われるのは、会社の大きさ(時価総額)に応じて比率を決める方式で、大きな会社ほど多く、小さな会社ほど少なく入ります。規則は指数を作っている会社が公開していて、誰が計算しても同じ中身になります。

指数そのものは、売り買いできるものではありません。あくまで「ものさし」です。そのものさしと同じ動きをする商品を作ったのが、インデックスファンドです。

名前ではなく、どの指数か

「全世界株式」「先進国株式」といった名前は、指数の名前ではなく分類です。同じ「全世界株式」でも、連動する指数が違えば、含まれる国や会社の範囲が違います。中身を知りたいときに見る場所は、商品名ではなく「連動対象の指数」の欄になります。

インデックスファンドは、指数を「そのまま持つ」

投資信託は、多くの人から集めたお金を1つにまとめ、運用会社が代わりに株式や債券を持つ器です。その中でインデックスファンドは、指数が定めた銘柄と比率を、そのまま写して持つ運用をします。指数に入っている会社が増えたり減ったりすれば、ファンドの中身もそれに合わせて入れ替わります。

この「そのまま写す」が、仕組みのほぼすべてです。運用会社は、どの会社が伸びそうかを調べて選ぶことをしません。選ばないので、調査や判断にかかる費用がその分かかりません。コストが低くなりやすいのは、運用がうまいからではなく、この構造から来ています。

もう1つ、同じ指数に連動する商品は、どの運用会社が作っても中身がほぼ同じになります。だから比べるときは「どちらが上手か」ではなく、「同じものを、どれだけ安く、どれだけ正確に写せているか」を見ることになります。

ただし、ぴったり同じにはなりません。差し引かれるコストの分だけ指数を下回りますし、写し方のわずかなずれ(連動のずれ)も出ます。「指数と同じ」は「指数からコストとずれを引いたもの」と読み替えておくと、実態に近くなります。

「インデックスだから安全」ではない

インデックスファンドは、たくさんの会社を1本で持つので、1社の事情で大きく損をすることは起きにくくなります。ここまでは分散の効果です。ところが、市場全体が下がるときには、指数が下がるのと同じだけ下がります。指数に連動するというのは、上がるときも下がるときも、そのまま付いていくということです。

つまり、インデックスファンドが減らしているのは「どの会社を選ぶか」の当たり外れであって、「市場に居続けること」のふれ幅ではありません。ふれ幅の話は別の記事で扱っていますが、この区別だけは、ここでも押さえておく価値があります。

中身は、勝手に偏っていく

時価総額に応じて比率を決める指数では、値上がりした会社ほど比率が大きくなります。「全世界」という名前でも、特定の国や少数の会社の比率が高くなっていることがあります。分散の度合いは名前ではなく、その時点の中身で決まります。中身は交付目論見書や運用報告書で確かめられます。

アクティブファンドとの違い

指数を写すのではなく、運用担当者が銘柄を選んで指数を上回ることを目指す投資信託を、アクティブファンドと呼びます。どちらが良いかは、判断が分かれる論点です。両側の理屈を並べます。

指数に連動させる側の理屈

  • 選ぶ工程がないので、コストが構造的に低くなりやすい。コストは毎年確実に差し引かれる。
  • 中身が規則で決まっているので、買う前に何を持つことになるかを自分で確かめられる。
  • 運用担当者の当たり外れを引き受けない。担当者が代わっても中身は変わらない。
  • 選ぶ場面が少ないので、自分の判断の当たり外れが結果に入り込む余地も小さい。

銘柄を選ぶ側の理屈

  • 指数は規則で機械的に決まるもので、「いま何を持つのがよいか」という考えを持たない。割高なものも、規則どおりに持ち続ける。
  • 指数が作られていない対象がある。そこでは、選ぶ運用しか選択肢がない。
  • 誰かが個別の会社を調べて値をつけているから、指数の示す値段が決まる。全員が指数を写すだけになれば、その前提が崩れる。
  • 時価総額比で偏った比率や、規則どおりに持ち続ける割高な銘柄を、そのまま持ちたくない人にとっては、方針を持つ運用を選ぶ理由になる。
  • 上回る可能性そのものは否定されていない。特定の局面や対象で、選ぶ運用のほうが良い結果になることはある。

この論点で実際に効くのは、「コストの差を毎年埋める見込みを、自分は何で持つか」です。指数の中身をそのまま持ちたくない理由があるなら、方針を持つ運用のコストは、その方針に払う対価になります。そういう理由が特にないなら、差は毎年そのまま残ります。どちらかが正しいのではなく、自分がどちらの側にいるかで答えが変わります。

なお、上回ったかどうかは、あとにならないと分かりません。過去に上回ったことは、これからも上回る根拠にはならない、というところまでが、この論点の前提です。

ETFとの関係

同じ指数に連動する商品には、証券取引所に上場しているETFもあります。中身の考え方は同じで、違うのは買い方と分配の扱いです。投資信託は1日1回の値段で申し込みますが、ETFは取引時間中に値段が動き、株式と同じように売り買いします。分配金を出すのが一般的で、再投資は自分で行うことになります。

つまり「インデックスファンドかETFか」は、何に連動するかの違いではなく、どう買ってどう持つかの違いです。連動先を決めたあとに考える話になります。

「おまかせ」で合っている?

では、どこを見るか

ここまでの仕組みが分かると、商品を前にしたときに見る場所が絞れます。どれも、各ファンドの交付目論見書と運用報告書に書いてあります。並べた順に優劣はなく、連動先だけは先に決まっていないと、あとの項目が比べられません。

  • 連動対象の指数。名前ではなく、どの指数を写しているか。ここが違えば、あとの項目を比べても意味がありません。
  • コスト。同じ指数を写す商品同士で比べます。表示されている信託報酬のほかに、実際にかかった費用が運用報告書に出ています。
  • 分配方針。分配金を出すか、ファンドの中で再投資するか。課税のタイミングが変わります。
  • 下がったときに自分がどうするか。これは目論見書には書いていないので、買う前に自分で決めておくことになります。

項目ごとの見方と、見なくてよいものは「ファンドの比べ方」にまとめてあります。全世界株式を1本にするかどうか、といった論点は「判断が分かれる論点」で扱っています。

この記事で扱わないこと

個別の商品名、どの指数がよいか、いくらをどう配分するか。どれも読む人の状況で答えが変わるもので、仕組みの説明の側からは決められません。判断の材料と、見る場所までを書いています。

このページの内容へもどる