iDeCo が 2026年12月 に変わります
iDeCo の拠出限度額が 2026年12月 から引き上げられます。加入できる年齢の上限も広がります。上がるのは「入れられる上限」であって、入れる額が決まるわけではありません。何が変わるのか、いつから効くのか、自分の区分だとどうなるのかを順に見ていきます。
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変わるのは2つ
変わるのは、掛金の上限額と、加入できる年齢の上限です。仕組みそのもの(掛金が全額所得控除の対象になること、運用益が非課税であること、原則60歳まで引き出せないこと)は変わりません。
- 拠出限度額が引き上げられます。上がり方は区分によって違います。
- 加入できる年齢の上限が、65歳になるまでから 70歳になるまでに広がります。ただし、60歳以上の人が全員入れるようになるわけではなく、一定の要件を満たす場合に加入と拠出の継続が認められる形です。施行日から3年間の経過措置も置かれています。
上限が上がることと、増やすことは別の話です
限度額は「ここまでは入れられる」という線であって、目標額ではありません。入れた分は原則60歳まで引き出せないので、上限が上がったぶんだけ、動かせないお金を増やせる余地も広がります。それを使うかどうかは別に考える話です。区分ごとの上限額
iDeCo の限度額は、公的年金のどの区分にいるか、勤務先に企業年金があるかで決まります。自分がどれに当たるかで、上がり方が変わります。
- 第1号被保険者・任意加入被保険者 — 自営業者、フリーランス、学生など
- 第2号被保険者(企業年金なし) — 勤務先が企業型DC・確定給付企業年金のいずれも実施していない会社員
- 第2号被保険者(企業年金あり) — 勤務先が企業型DC または確定給付企業年金を実施している会社員、公務員
- 第3号被保険者 — 会社員・公務員に扶養されている配偶者
| 区分 | 現行 | 2026年12月 から |
|---|---|---|
| 第1号被保険者・任意加入被保険者 | 月68,000円 | 月75,000円 |
| 第2号被保険者(企業年金なし) | 月23,000円 | 月62,000円 |
| 第2号被保険者(企業年金あり) | 月20,000円 | 月62,000円 |
| 第3号被保険者 | 月23,000円 | 月23,000円 |
表の額をそのまま入れられるとは限りません。企業年金がある場合は、他の制度と合わせた上限から会社が出している分を差し引いた残りが自分の枠になります。次の節で扱います。
企業年金がある人は、満額ではありません
勤務先が企業型DC や確定給付企業年金を実施している場合、iDeCo の枠は「他の制度と合わせていくらまで」という形で決まります。表に出ている額は合算の上限で、実際に iDeCo に入れられるのは、そこから会社が出している分を差し引いた残りです。
| 合算の上限 | |
|---|---|
| 現行 | 企業年金の事業主掛金と合わせて月額 55,000 円が上限 |
| 2026年12月 から | 企業年金の事業主掛金と合わせて月額 62,000 円が上限 |
差し引く額は勤務先によって違うので、限度額の表だけでは自分の枠が分かりません。企業型DC の加入者サイトで、会社が出している事業主掛金の月額を先に確認すると、残りがいくらかが決まります。
マッチング拠出との併用はできません
企業型DC でマッチング拠出(自分でも上乗せして出す仕組み)を使っている場合、iDeCo との併用はできません。勤務先の規約に沿ってどちらかを選ぶことになります。改正でこの関係が変わるわけではありません。上がらない区分もあります
第3号被保険者の額は据え置きです
引き上げの対象は全区分ではありません。第3号被保険者は2026年12月 以降も月23,000円のままです。厚生労働省の広報資料はこの区分に触れていませんが、改正後の確定拠出年金法施行令(第36条)で額が据え置かれていることを確認できます。公表されている資料で確認できる範囲には限りがあります。本サイトでは、確認が取れていない数値は「未確認」として扱い、確認できたものと同じ顔で並べないことにしています。
改正の内容そのものは決まっていますが、実務の細かい部分(運営管理機関ごとの手続きや、いつから変更の申出ができるか)は、これから案内される部分が残ります。
いつから効くのか
施行は 2026年12月 です。掛金は前月分が翌月に引き落とされる形になっているため、引き上げ後の額が実際に口座から出ていくのは、その次の月からになります。手続きをした日ではなく、どの月の掛金かで決まります。
掛金の額を変えるには、運営管理機関に申出をする必要があります。自動的に上限まで上がるわけではありません。金額を変えない場合は、これまでと同じ額が続きます。
枠が増えたぶん、増やすかどうか
上限が上がったときに、掛金を増やすか、これまでどおりにするか。どちらにも理屈があり、答えは状況で変わります。
Q:掛金を増やすか、これまでどおりにするか
- A:増やす側の理屈
- 掛金は全額が所得控除の対象になるので、課税所得がある人ほど当年の負担が軽くなる。
- 運用益に課税されない期間が長くなる。
- 引き出せないことが、途中で使ってしまうことの抑止になるという見方もある。
- 加入できる年齢が延びたぶん、拠出できる期間も長く取れるようになる。
- A:これまでどおりにする側の理屈
- 原則60歳まで引き出せない。動かせないお金が増えると、途中の出費に対応しにくくなる。
- 課税所得がない場合、所得控除による軽減は生じない。口座管理手数料は課税所得の有無にかかわらずかかる。
- 生活防衛資金や、使う時期が決まっているお金を先に置いておく必要は変わらない。
- 受取時には課税関係が生じる。入れるときの軽減額だけでは損得が決まらない。
判断が変わるのは、課税所得がいくらあるか、60歳までに使う可能性のあるお金がどれくらいあるか、そして勤務先の制度で既に枠が埋まっていないか、の3点です。ここがはっきりすると、どちらを選ぶかは決めやすくなります。
同じ商品でも、置く場所で手取りが変わる。
なぜ: 課税口座では運用益に20.315%かかり、NISAではかかりません。買うものが同じでも、どの口座に置くかで最終的な手取りが変わります。商品選びの前に、器を選ぶ話です。
「上限が上がる」で止めない
上がったのは線で、効くかどうかは人による
- 問 上限が上がるというのは、加入している人がみな得をするということか
- 答 掛金が全額所得控除になるので、納める税が軽くなる人は多いと説明されます。会社員は上がり幅も大きくなります。
- 問 収入が少なく、税をほとんど納めていない年でも軽くなるのか
- 答 たしかに、上の言い方では足りません。控除は納める税があってはじめて効くので、課税所得がない年には軽くなりません。
- 問 では、その年に残るものは何か
- 答 残るのは運用益が非課税であることです。一方で口座の手数料は、納める税の有無にかかわらず、加入している人すべてにかかります。
- 問 「上限が上がった」という情報だけでは、自分にどう効くかは分からないということか
- 答 上がったのは線のほうで、自分の枠がいくらになるかは公的年金の区分と勤務先の制度で決まります。効き方のほうは課税所得で変わります。順番に確かめていくことになります。
- 問 納める税がない年でも、確かめられることはあるのか
- 答 自分がどの区分にいるか、勤務先に企業型の制度があるかは、その年の課税所得と関係なく調べられます。確かめる手順は次の項目に挙げています。
何を確かめればよいか
- 自分が公的年金のどの区分にいるかを確かめる(自営業か、会社員か、扶養されている配偶者か)。
- 会社員なら、勤務先に企業型DC や確定給付企業年金があるかを確かめる。あるなら、加入者サイトで事業主掛金の月額を見る。
- 合算の上限から事業主掛金を差し引いた残りが、2026年12月 以降に iDeCo へ入れられる額になる。
- 掛金を変えるなら、運営管理機関に申出をする。何もしなければ今の額が続く。
手取りがどれくらい変わるかは、課税所得と受取方法によって変わります。仕組みの大きさを見るための試算は、税制優遇口座の比較で触れます。
出典
- [1]厚生労働省「iDeCoがパワーアップします!(令和8年12月からの拠出限度額引き上げ)(新しいタブで開きます)」(利用条件: 公共データ利用規約(第1.0版)(新しいタブで開きます))2026年12月から拠出限度額の引き上げと加入可能年齢の拡大が行われる。
- [2]国民年金基金連合会「iDeCo公式サイト(拠出限度額)(新しいタブで開きます)」(利用条件: 連合会の許諾なく複製・転載・改変はできない(新しいタブで開きます))
- [3]デジタル庁 e-Gov法令検索「確定拠出年金法施行令 第36条(拠出限度額)(新しいタブで開きます)」(利用条件: 公共データ利用規約(第1.0版)(新しいタブで開きます))厚生労働省の広報資料が触れていない加入区分の限度額を、根拠条文で確認するために使う。2026年12月1日施行の改正後条文も同じ法令の改正版として参照できる。